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2026.10.21東京大阪
イベント
マドレーヌの生地を型に流し込むメンバー、エスプレッソを淹れるメンバー。ここはレコールバンタンのメンバーが学ぶ中目黒3号館。でも、この日の顔ぶれの多くは、普段は別の校舎・スクールで学んでいます。その正体は、自分の専門とは異なる授業をセレクトし、学べる1dayイベント「バンタン未来ラボ」。8月7日に行われた1日に密着しました。

1. マドレーヌの「おへそ」は、なぜ膨らむのか
2階で行われていたのは「製菓体験」。富樫香織講師に、マドレーヌとフィナンシェを学びます。マドレーヌは全員が実際に作り、フィナンシェは富樫講師のデモを見学するプログラム。「お菓子が食べられるなら!」と友人同士で申し込んだのは、普段は美容を学ぶヴィーナスアカデミー高等部3年次・中村祐月さんと小松卯乃さん。

デモは、まず型の準備から。
バターを塗り、そこへ強力粉を振ります。余分な粉を払うために型をひっくり返し、調理台に「バンッ!」と力強く打ちつけます。大きな音に、メンバーもびっくり!

生地を型へ流し込みながら、「生地が少ないところを見るには、少し離れたところから型を見ると分かりやすいよ」

流し終えたら、中心に溶かしバターをひとつ。「お店なら常温で1〜2時間置いて表面を乾かします。今日は即席で、真ん中に溶かしバターを置きます」
ここから「おへそ」の話へ。
「バターを落としたところは油膜があるから、オーブンの中で焼けないんです。生地のベーキングパウダーの化学反応で炭酸ガスを発生させる。すると、焼けてない部分から更に熱によって空気が膨張して、大きくおへそがでてくる仕組みです。
見慣れた「おへそ」の形には、理由がありました。「ここまでで質問ある?私、マドレーヌについてなら3時間しゃべれるよー!」というひと言に、教室が笑いに包まれます。

レクチャーを受けたら実践へ。材料のレモンを嗅ぎ合って「いいにおーーい!」
型の粉を払うときは「バンって音しまーす!」の声かけに「はーい!」と返事が返り、打ちつける感覚に「気持ちいい!」と喜ぶ声も。

生地を袋へ移す作業になると、小松さんの手元があやしくなりました。こぼしそうになるたびに周りの手がすっと伸び、中村さんや富樫講師が横から支えます。
型に絞り入れるときは、はみ出して「きゃーーー!」と教室に悲鳴が響きわたることも。そのたびに笑い声が起きました。一方の中村さんは黙々と、サクサクと工程を進めていきます。均等に入らなかった生地は、富樫講師がならしてくれました。

焼き上がりました!おへその形は、一つひとつ違います。

焼き上がったマドレーヌを、2人で運びます。

黒いクロスの上に盛り付けられた富樫講師のお手本には、スマホを向ける列ができました。

「普段は、オーブンを使うことがないのでめっちゃ楽しかったです」と振り返る中村さん。
小松さんも「あんまり難しいところはなかったです。上手にできました!」
味への自信を聞くと、2人とも声をそろえて「あります!」
2. バリスタ歴27年が明かす、一杯の裏側
3階では「バリスタ体験」授業が行われています。教えるのは、バリスタ歴27年の篠崎好治講師です。KADOKAWAアニメ・声優アカデミー高等部3年次・倉石琉可さんは、声優科の友人2人とこの授業を選びました。

「飲食業界は、技術を身につければ世界で仕事ができます」。エスプレッソマシンを指して「これは350万円、あそこのマシンは300万円」と続けると、「えぇー!」と歓声が上がりました。
バリスタが使うのは、必ずひきたてのコーヒー豆。ただし粒の大きさは、湿度で変わります。「営業中に雨が降ったら最悪ですよ」と篠崎講師。「乾燥したせんべいとしけったせんべい、同じようにたたいて割っても、割れ方が違うでしょう?粒が大きいと、隙間を通ってお湯が速く流れる。だから薄くて酸っぱいコーヒーになるんです。粒の大きさを調整することが重要で、そして大変なポイントです」と、わかりやすく例えます。
「スチームは120度あるから気をつけて」の言葉に合わせてスチームが「ジュッ」と勢いよく噴き出し、「うわぁ!」「ぎゃあ!」。ミルクの適温は60〜65度ですが、「毎回測っていられないから、手のひらで測ります」
「へーーー!」と、メンバーたちも思わず納得の声をあげます。

実践では、1人2杯のエスプレッソを淹れます。倉石さんもホルダーを構え、ひきたての豆を詰めていきます。「落とさないでね!300万!」と篠崎講師の掛け声に、また笑いが起きます。

続いて、豆を平らにならす「タンピング」。「これが上手にできるようになるまでは、大体2、3か月くらいかな。コーヒー豆の約16%は油分なんです。その油とお湯が混ざって乳化する」。詰め終えたホルダーは密度が高く、逆さまにしても粉が落ちてきません。挽いた粉の香りを嗅がせながら「いい匂いでしょう。でも、この時点でいい匂いということは、香りが逃げているんです」「確かに!」とうなずくメンバーたち。
続いてはラテアートへ。まずはハートから。「プロは、お客さまが右利きか左利きかも気にします。カップを持つとき、ハートの向きが変わるから」と説明すると、「えー!」とプロフェッショナルの着眼点に驚きの声。

1杯目は篠崎講師が手を添えてくれるので、きれいなハートが浮かびます。
2杯目はひとりで行います。「怖い!」「うそやん!」「無理ーーーー!」と、悲鳴の嵐です(笑)。そのなかで倉石さんは、ミルクジャグをゆっくり傾け、左右対称なハートを描いていました。

篠崎講師は、ふぞろいのハートを並べて、「ミルクジャグを持つ手に力が入ると傾くんです。そうすると、片方が大きく、片方が小さなハートになる。持つ手の力は抜いて」と、失敗の理由と直し方まで丁寧にアドバイス。

最後は、ピックで細部を描くエッチング。篠崎講師の著書『おうちでデザインカプチーノ』(ソニー・マガジンズ)を開いて「好きな絵柄を選んでいいですよ」

お手本のウサギとクマに「かわいい!」と沸くと、
「ヒゲのおっさんのくせに、かわいい絵を書くでしょ?」「はい!」「いや、はいって!」と大笑いの一幕も。

質問の時間には、次々と手が挙がります。
――家で再現するには?
篠崎講師「手ごろなエスプレッソマシンなら2万円ぐらいで買えますよ」
――ラテアートで大切にしていることは?
篠崎講師「ラテアートは、お客さまの好みに合わせて変えます。ただ、僕らとしては味を最優先にしたい。おいしく飲んでほしいから、簡単で早く描けるものがいいんです」。その言葉にプロとして大切なことが凝縮されていました。
授業を受けた倉石さんに、落ち着いて注げた理由を聞くと「自分の性格が慎重なので」と話します。向いていると思う?と聞くと「ちょっと(笑)」。いま目指しているのは声優ですが、「アルバイトでバリスタができるなら、ぜひやってみたいです。飲食業界のことを知れて、いろいろな機械に触れられてよかったです」と笑います。
3. 自分で焼いたマドレーヌ、淹れたてカフェラテでおやつ時間
最後は、待ちに待った試食タイム。

試食会の会場は、レコールバンタン2階のフリースペース。普段はメンバーたちがランチを食べたり、休憩したり、勉強したりしている場所です。
自分で焼いたマドレーヌ、自分で淹れたカフェラテのおやつセットの味わいは格別。

そして、右手でL、左手でVを作りレコールバンタンポーズで記念撮影!

普段は別分野を学ぶメンバーたちは、おいしい満足感とともに、自分の専門分野に生かせるヒントも持ち帰りました。
【PROFILE】
富樫香織講師/パティシエコンサルタント
エス・ワイル洋菓子店でフランス菓子のクラシックを学び、オテルドミクニ本店では料理の最後を演出するパティシエールとしてアシェット・デセールを学ぶ。その後、成城マルメゾンにて日本洋菓子界のレジェンド・大山栄蔵氏に師事。現在はレコールバンタン パティシエ学科の講師として、未来のパティシエたちに、将来にわたって学び続ける力を養う。「作り手が幸せでなければ、お客様をハッピーにすることはできない」を座右の銘に、カフェや洋菓子店のプロデュース、メニュー開発などフランス菓子をベースに活動する。
篠崎好治講師/JBA認定インストラクター、JBA技術研究委員 委員長
20歳の時、ヨーロッパへのサッカー留学時にカフェやバールの文化に魅了され、バリスタの道に。「エノテカバール・プリモディーネ」をはじめ複数ブランドでのバリスタを経て現在に至る。






