ホテルのひと皿は、どうつくられているのか?
ANAインターコンチネンタルホテル東京のキッチンで、ほほ肉の赤ワイン煮込みを学ぶ

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2026.10.22東京大阪

授業/特別講師/講演会

ホテルのキッチンでは、ひと皿がどのようにつくられているのか?

メンバーたちが訪れたのは、溜池山王駅徒歩すぐ、都心の一等地に位置するANAインターコンチネンタルホテル東京。

ホテルで実際に提供されているメニュー「国産牛ほほ肉の赤ワイン煮込み トリュフとキタアカリのエクラゼと共に」の調理を学びます。

参加した7人のメンバーのうち、高等部調理プロデュース専攻2年次・夏井玲於さんと専門部調理プロデュース専攻1年次・安齊慶生さんの2人を中心に、シェフから直接学ぶ「ホテル実践講義」を追いました。

 

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1. お客さまとしては決して入れないエリアへ

今回の講義は、メンバーが自由に参加できるゼミ型の「企業連携授業」のひとつ。人材組織開発部長のクリストフ・アーツさんは、その流れをこう説明します。

クリストフ・アーツさん「三つのステップで行います。まずは9月、中村貴明シェフと採用担当がスクールに行き、業界やホテルでのキャリアについて説明します。今回は調理実習。希望者には、このホテルで1週間ほど働くインターンシップの機会をつくる予定です」

夏井玲於さんは、ホテルでの就職に興味を持ちました。

1年の安齊慶生さんは、結婚式場のキッチンでアルバイトをしていますが、これまでホテルに来る機会がほとんどなかったといいます。

レクチャーと試食の会場は、36階の「クラブインターコンチネンタルラウンジ」。35階と36階の2フロアからなる都内最大級のラウンジで、本来はクラブルームとスイートルームに宿泊するゲストだけが利用できる特別な空間です。この日は、そのラウンジを貸し切っての授業となりました。

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2. 婚礼料理で選ばれる、ほほ肉の赤ワイン煮込み

この日のメニューは、赤ワインで煮込んだ国産牛のほほ肉に、姫ニンジン、ペティオニオン(小タマネギ)、モロッコインゲン、トリュフを合わせたキタアカリのエクラゼを添え、金箔を飾る豪華なひと皿。講師は、バンケットヘッドシェフの中村貴明シェフが務めました。

中村貴明シェフ「婚礼料理などの“バンケット”ではステーキが定番ですが、それ以外を選びたい人もいます。ほほ肉の煮込みは、そうしたお客さまに選ばれるメインディッシュです」

まずはシェフのレクチャーから。1皿に使うほほ肉は100gで、煮上がると60gになります。「おいしいし、ゼラチンが多い」という国産ほほ肉を赤ワインに1日漬け込み、煮詰めたワインと、フォン・ド・ボー(子牛のだし)で3〜4時間煮込みます。

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中村貴明シェフは「火を入れていくと、一度肉が縮こまり硬くなります。そこから繊維が壊れてくると、今度は柔らかくなります」と、肉の構造を解説します。

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「煮込みは失敗しにくい料理」と、中村貴明シェフは言います。一方で、ステーキの焼き加減は料理人が切って確かめることができません。「お客さんが切るものなので、指で触ったときの弾力でわかるように。その感覚は経験を積んでいくうちに覚えていきます」と続けます。

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注文を受けてからつくるレストランとは違い、宴会(バンケット)では何百人分を一気に仕込みます。ホテルでは、600名規模の宴会もあるといいます。また、スタッフは国際色豊かで、キッチンでは英語が飛び交うことも。

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3. 粒を残すと「エクラゼ」になる

レクチャーのあとは、メンバーが実践する番です。

メンバーは、付け合わせ「ガルニチュール」を担当します。「野菜の皮をむく人、野菜を焼く人、マッシュポテトを仕込む人で分かれてもらいます」と中村貴明シェフ。

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姫ニンジンの皮をむき、モロッコインゲンとともにゆでて、ペティオニオンはフライパンで焼き目をつけてから、コンベクションオーブンで焼いていきます。

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「野菜の火入れ加減が意外と難しいんです。姫ニンジンは小さいので、頭のグリーンの部分だけ溶けてしまったりします」と中村貴明シェフ。

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作業台では、メンバーたちが、ふかしたキタアカリを手でほぐしていきます。フランス語で「つぶした」を意味する「エクラゼ」です。

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中村貴明シェフ「マッシュポテトですと、すべて裏ごしします。エクラゼは、ジャガイモの粒をわざと残すので、ホクホクとした食感が楽しめます」

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粗くつぶしたジャガイモに、生クリームとトリュフソース、バターを合わせます。バターについては「生クリームと一緒で、つなぎ役のイメージです」と中村貴明シェフ。

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夏井玲於さんも、このエクラゼづくりに加わりました。「家でつくるマッシュポテトは、全部粒感をなくしていたんですけれど、粗めに仕上げる方法もあるんだなと思いました」と話します。

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1年の竹上学澄さんは「IHでの調理が難しくて、緊張して思うようにできませんでした。でも、エクラゼの調理ができたのは良かったです」と振り返ります。

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盛り付けでは「もう少しソースをかけていいですよ!」と中村貴明シェフ。最後に、豪華な金箔をのせてひと皿が完成しました。

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4. はじめて食べる、ほほ肉の味

試食はラウンジに戻って全員で「いただきます」。

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窓の向こうには国会議事堂が見え、都心の景色を一望することができます。

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夏井玲於さんは、ソースをつける状態とつけない状態とで、食べ比べていきます。

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夏井玲於さん「ほほ肉単体でも、ソースの味がしっかりと感じられます。ソースは、肉を煮込んだ赤ワインを5分の1まで詰めて、フォン・ド・ボーを足して仕上げるなど、とても手間暇がかかっていることがわかりました。口に入れると、お肉がホロホロととろけるようでした!」

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ほほ肉について、安齊慶生さん(写真奥)は「食べたこともなかった料理ですが、最高です」と笑顔で話します。

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クリストフ・アーツさんは、この日のメンバーについて「真面目で、ちょっと緊張していましたね。今日は忘れられない経験になったかな」と振り返りました。

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5. 探求心を持ち、英語力を磨いてほしい

メンバーを指導した中村貴明シェフは「皆さん、『ここはどうするんですか』と積極的に質問してくれるのが新鮮でした。調理に前向きで、まっすぐな姿勢が感じられました」と評価。

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ホテルへの就職を目指すなら、今から何を大切にするといいのでしょうか?

中村貴明シェフ「やる気と探求心を、ずっと持ち続けてください。うちのホテルは外国人のスタッフも多いので、若いうちに英語を身につけてもらえると、日本にとどまらず、海外でも働けると思います」

クリストフ・アーツさんが採用の場面で重視するのは、自己紹介ができるか、コミュニケーションがとれるか、そして「将来的には何をやりたいか、ビジョンがあるか」。「開業から40年を迎えたホテルには経験豊富なスタッフが多いので、上司から正しい仕事のやり方を覚えられることが魅力です」と続けます。

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実習の最後は、従業員が行き交う通路を通り、中国料理「花梨」やメインバー「ダビンチ」、客室を見学しました。

この日を振り返り、夏井玲於さんは「シェフと一緒に料理をつくれただけでなく、お客さまを喜ばせるために、いかに手際よくおいしいものを準備するのかというマインドの部分も知れて良かったです」と話します。

安齊慶生さんは「ホテルの方々が優しく対応してくれました。調理工程もとても詳しく教えてくださいました。アルバイト先の結婚式場のキッチンとはまた違い、現場の雰囲気が感じられたのが良かったです」と話します。

希望するメンバーは次回、1週間のインターンシップで、今度は働く側としてホテルに立ちます。

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【PROFILE】

中村貴明さん(ANAインターコンチネンタルホテル東京 バンケットヘッドシェフ)

新宿調理師専門学校卒業。新宿プリンスホテルで4年、渋谷東急ホテルで1年を経て、全日空ホテル(現・ANAインターコンチネンタルホテル東京)に入社。宴会ブッチャー、カスケイドカフェ、宴会バンケットのスーシェフ、宴会バンケットのシェフ、カスケイドカフェのシェフ、カスケイドカフェのヘッドシェフを経て現職。入社26年目。

ANAインターコンチネンタルホテル東京

ANAインターコンチネンタルホテル東京は、赤坂・六本木まで徒歩圏内という東京の中心に位置する、801室を擁するラグジュアリーホテルです。

各国大使館やグローバル企業が集まる国際色豊かな環境の中、国内外から多くのお客様を迎えています。

 

2024年には全客室カテゴリーの大規模改装を完了し、洗練されたデザインと快適性を兼ね備えた、より上質な滞在体験を提供しています。

また、館内には13のレストラン&バーを備え、「カスケイドカフェ」や「アトリウムラウンジ」など、多彩なダイニングシーンをお届けしています。

 

あわせて、35・36階の「クラブインターコンチネンタル」は、東京の景色を一望できる国内最大級の宿泊者専用ラウンジです。

 

さらに、大小22の宴会場を備え、国際会議やレセプションなど幅広いシーンに対応。

日本ならではのおもてなしと国際水準のサービスを融合し、東京を代表するインターナショナルホテルとして進化を続けています。

 

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