<アマメリアエスプレッソ>オーナーバリスタ石井利明講師が教える。焙煎の黄金律とは?

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2019.07.10東京

授業/特別講師/講演会

おもむろに書かれたグラフ。

これは何を表していると思いますか?

 

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答えは、『焙煎の相関図』。

縦軸は豆の温度、横軸は時間をあらわしています。

 

「図の“yellow“や“golden“と呼ばれるあたりからメイラード反応(※1)が起こります。

その後、1ハゼ(1st crack)、2ハゼ(2nd crack)という分岐点を迎えます。ハゼとは、その名の通り豆が爆ぜる状態のこと。豆の焙煎ではこのハゼが大きく2回起こり、それぞれを1ハゼ、2ハゼと呼んでいるんですよ」

と解説するのは、武蔵小山の<アマメリアエスプレッソ>のオーナーバリスタ石井 利明講師

 

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石井講師 「お店によっても呼び名が変わりますが、1ハゼあたりを浅煎り、1ハゼから2ハゼまでを中煎り、2ハゼ以降を中深煎り、そして深煎りと分類することが多いです」

 

今回は、カフェ&バリスタコースの焙煎の授業をレポートします!

 

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<ポイント!豆の性質を見極める>

石井講師 「では、問題です。次の1から3の豆では、どちらのほうが火が入りやすい性質を持つでしょうか?

1、ブラジル系(やわらかい豆)

2、エチオピア系(小さくて固め)

3、ケニア、ルワンダ、中米系(固い豆)※中米でもナチュラル栽培のものは2に近い

正解は1のほうですね。2、3と進むにつれて火が入りにくい性質を持ちます。ケニアなどで育つ豆は固く、単に温度を高くするだけでは中まで火が入らずフレーバーが作られません。なので、いちばんゆっくり火を入れないといけないということが分かります」

 

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学生 「標高が高いところで育つと、コーヒー豆が固くなるんですか?」

石井講師 「そうですね、標高が高いと寒暖差が大きいので豆表面は固くなりやすいです」

学生 「オールドビーンズはどうでしょうか?」

石井講師 「確かに、オールドビーンズがもてはやされたときがありました。当時はローストマシーンが簡単な構造だったので、オールドビーンズを焙煎するのが難しかったんですね。なので、熟成という名のもとに乾燥させて火入れをしやすくした、という裏事情があると思います」

 

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<焙煎のキー!RoRとは?>

火入れのときにキーとなるのがRoR (上昇率)です。

 

石井講師 「上昇率RoRは、豆の温度が何度で上昇し進んでいくのかを示し、通常は30〜60秒で測定されます。30秒でRoRが5であるとします。それは、30秒ごとに焙煎機の中の豆の温度が5度ずつ上昇していることを示します。ローストの工程で大事なのは、RoRを参考にしながら、芯を焦がさず、どれだけ最後に芯に火が入るように組み立てるか、なんです」と力を込めます。

 

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基本をおさらいしたところで、各自が焙煎機に向います。

今日使うのは、ブラジルの豆。

 

みんな、ストップウォッチを見つつ1分刻みで温度を測りメモしていきます。

 

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焙煎し終えると学生たちは……

「1ハゼは、何度できた?」

「200ちょい前くらい。2ハゼは220くらいかな」

「グラフは60秒刻みの枠で作られているけど、30秒ごとにまとめたほうがいいかもね」

と、お互いのグラフを見比べるほど勉強熱心!

 

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また後半では、”香り”と”味”にフォーカスしていきます。

 

石井講師 「焙煎しているときの火力と空気の流れが適正であれば、フルーツの香りのする豆なら、ローストしてもフルーツのような香りがたちます。逆に鉄板の匂いや麻袋のような匂いとかがすると状態が適正でないということです」

 

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一人ずつ香りを嗅いでみて……

学生 「適正なときは甘い感じがして、高すぎると刺激が強い。また低すぎるとモヤモヤッとした香りでした。感覚的な説明ですみません!」と、感想を教えてくれました!

 

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最後には、豆を挽いて抽出、カッピングを行います。

 

「人によって味わいが全然違う!」

「この人のは、ちょっと酸がきいているね」と検証していましたよ!

日頃から数字で考えるクセをつけ、香りや味わいを五感で覚えていく……学生たちの、飽くなき探求は未だまだ続きます!

 

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  • ※1 還元糖とアミノ化合物を加熱したときに見られる、褐色物質を生み出す反応のこと。とても簡単に例えるなら、パンやステーキに「焼き色がつく」こと。

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