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2020.02.03東京
授業/特別講師/講演会
全身から、イタリアンオーラが漂うこちらの男性。カフェ業界では知らない人はいない伝説のバリスタです。
日本にバール文化を広めた先駆者で、学芸大学『ロ・スパッツィオ』オーナーの野崎 晴弘講師をお迎えしました。
▼ロ・スパッツィオ
<23歳でイタリアへ。朝7時から深夜2時まで働く>
野崎講師は、東京プリンスホテル、パレスホテル立川でサービス業に従事し、渡伊。
野崎講師 「23歳のときにイタリアに渡りました。自分が東洋人であること、イタリア語が堪能でないことがハンディキャップだと分かってはいましたが、技術では負けないと思っていました」
イタリア人の3倍働くことを決意。そうすれば1年の滞在が3年分の価値を生むと考えたそう。
そのスケジュールは壮絶なもの。
7:00〜12:00 Tosi(ジェラテリアの店)
13:00〜20:00 Fontana(バールとお菓子)
21:00〜深夜2:00 900(ジェラートとバール)
と、3つのお店で働く過密スケジュール!にも関わらず「仕事を休んだのは1年で1日だけ。釣りにいきたくて」と、こともなげに笑います。
<お前のいれたコーヒーなんて飲めない>
野崎講師 「イタリアには差別があります。
僕は見た目が東洋人だという理由で『お前がいれたコーヒーなんて飲めない』と面と向かって言われたことがあります。でもバリスタのユニフォームを着ているので、次に入ってきたお客さんには『カプチーノ』と注文されたんです。『僕が作っていいの?』と聞くと『あなた、バリスタでしょ?』と言われて一杯のデザインカプチーノを提供したんです。すると『カプチーノに絵が描いてある。スゴい!』と驚いてくれて。すると、さっきまで俺のコーヒーは飲めないっていたヤツが戻ってきて『これ、俺の友だちだ!』って自慢げに言うんです。すげー国だなって思いましたよ(笑)でも、僕のコーヒーは飲めないって言っていたそのお客さんは、それ以来店に来ると必ず僕に一杯ごちそうしてくれるようになりました」
<コーヒーをいれるだけで商売が成り立つと思うな>
野崎講師 「18年前に、学芸大学にイタリアンバールをオープンさせました。僕の中でバールの定義は『カウンターで立ち飲みできること』です。
バリスタという仕事はもちろんですが、セミナーをしたり、企業のアドバイザーを務めることもあります。
さて、こんなことをいうと怒られそうですが、コーヒーって主役になれないと思っています。なぜかというと、コーヒーはサンドイッチだったりスイーツだったり合わせるものが大事だから。それにね、おいしいプリンのために人は動いても、おいしいコーヒーのためだけに動いてくれる人は少ない。コーヒー以外の武器も持っておいて損はありません。
お店の価値は、イコール売上げです。いうなれば、毎日選挙をやっているのと同じような感覚。流行るには流行る理由があるし、おしくなくても流行る店もあります。でもそれは味以外に秀でているところがあるからで、それも含めて店の価値が決まると思います」
ここで、休憩タイム!
もちろんブレイクタイムもイタリア流に。
「エスプレッソでもいれようか」と、話すやいなや3分ほどで22杯分のエスプレッソをいれてしまいました!!
美味しさはもちろん、その神がかった手際の良さ、スピード感が講師のスゴさを物語っていますね。
後半では、学生たちからの質問に答えてくれました。
Q.お店の資金はどのようにして作りましたか。
「僕は28歳のときに店を持ちましたが、個人投資家さんに出してもらいました。今なら、クラウドファンディングを活用するのもいいと思います。自分のプランがいかに人に響くかもチェックできるし、お金が集まらないということはそもそも魅力的でないということですから。あとは、日本政策金融公庫から借りる方法もあります」
Q.次に目指していることは何ですか?
「目指せ、不労所得ですね。チョコレートもやりたいし、イタリアに出店もしたいです。あとは、コーヒーに関しては人を育てる仕事をしていこうと思っています。スタッフにも自由にやらせてあげたいという気持ちを持つようになりました」
<バリスタの仕事で華やかなのは1割>
野崎講師 「個人的に、バリスタの仕事で華やかなのは1割、残り9割では地味な仕事だと思っています。
でも、一見するとムダに見えることも必ず役に立ちます。僕自身46歳になりますが、今までしてきたことでムダになったことはひとつもないです。
そして、『できる』のレベルや限界を、自分で決めないで。今でも僕はカプチーノにハートを描くのは難しいと思います。でも、まだ『完璧のさらに上の完璧』があると思っています」
と、熱いメッセージを送りました。
2019年6月にはロ・スパッツィオの斜めむかいにイタリアンジェラート『プレフェリータ』をオープンさせた野崎講師。
「60歳をすぎたらイタリアで焼き鳥店やお好み焼き店をやるのもいい」とビジョンを語ります。
情熱と技術力と行動力をもつプロフェッショナル講師のメッセージは、きっと学生たちの心に響いたはず!